静岡レトロ私鉄3~大井川鉄道・井川線~
前回 の続きで、千頭駅から大井川鉄道・井川線に乗ります。井川線(愛称:南アルプスあぷとライン)はもともと大井川にダムを建設するときの資材運搬用に中部電力がつくった路線で、ダム建設が終了した後、大井川鉄道が観光路線として活用しています。そのため、途中90パーミル(1000m進むと90m上る)とかいうすごい急こう配があるためアプト式機関車を連結したり、ダム湖の上に駅があったり、トンネル、急カーブがたくさんあったりと自然の厳しさを感じられる路線になっています。
奥大井湖上駅
千頭から小さいトロッコ列車のような客車に乗っていきます。この日は団体の観光客がたくさんいて、客車7両、機関車は重連と大変多くのお客さんがいて、ほぼ満席状態。よく揺れるので基本的には立って乗らないでくださいとのこと。相席でも座る必要があります。そんな満員の列車だったので、アプト式機関車の連結の見学や景色をあまり楽しめず奥大井湖上駅へ到着。団体客はほとんどこの駅で降りたみたいで、ホームはまた人でいっぱい。
奥大井湖上駅を去る列車です。ここで降りなかった乗客もほとんど次の接岨峡温泉駅で降りるみたいで、終点の井川駅まで行く人はあまりいないとか。そしてこの写真で、列車のすぐそばを人が歩いていますが、こちらはレインボーブリッジという名前の付いた歩道もある橋で、ここを渡って対岸の展望台へ向かいます。
駅の千頭方面には歩道がありません。
さてそのレインボーブリッジを渡って、展望台に向かいましょう。急な階段を上った途中から見下ろすと、先ほど歩いてきた橋がこのように見えます。この角度でも、駅がダム湖のど真ん中にあることがわかります。
駅から歩いて15分ほど、展望台に到着しました。「湖上駅」の名の通り、すごいところに駅をつくったなあという感じです。訪れた日はあいにくの曇り空で雨のあと。晴れた日なら湖面がきれいな青に染まるとのこと。ただまあ、紅葉と雲がかかる山もあり、これもありかな。だけど晴れた時に行きたいなぁ
奥大井湖上駅~井川駅
駅に戻ってきました。大方の人はここで千頭駅に戻るそうですが、せっかくここまで来たので終点まで乗っておきましょう。井川行きの列車に乗車します。
長い編成の後ろの方に乗っていると、どれだけ急なカーブなのかがわかります。本当に森林鉄道みたい。
こちらは日本一高い現役鉄道橋、関の沢橋梁。下を流れる川底からの高さは約70m!高所恐怖症の人は外を見ないように…
列車は終点・井川駅に到着。奥大井湖上駅から45分ほどかかりました。
井川駅
駅舎はこちら。駅員さんがいて、乗車券も発売しています。乗車券が硬券なので記念に一枚購入すると、次が最終だからか日付印字機の日付を次の日に変えた後で、一日先の日付が印字された切符を購入することに…それほど地元の人が乗るわけではなく、フリー券利用では折り返す観光客が多いということです。
井川駅のすぐそばには井川ダムがあります。こちらは大井川にあるダムの中で最大のものだそう。
15:26に到着して折り返しは15:54発。駅前におでんを売っている屋台みたいな店があったので、さっといただき駅へ戻ります。大根もたまごも味が染みて美味しかった。
発車時の乗客は自分も入れて2,3人といったところでした。
アプト式機関車
最終列車ということで、途中少しだけ乗客を拾いながら列車は長島ダム駅に到着。ここでアプト式機関車のED90を連結します。
アプト式とは線路の間にラックレールと呼ばれるレールを設けて、機関車側の歯車とかみ合わせて踏ん張りを利かせて急こう配を乗り切る方法。機関車は常に勾配の下側(千頭方)に連結され、緊急時に転がり落ちていかないように踏ん張ります。そのため機関車の台車は特殊な形状をしていて、この区間だけ電化されています。
暗くて見にくいですが、こちらがラックレール。
アプト式区間は長島ダム~アプトいちしろ間一駅のみ。アプトいちしろ駅で機関車を切り離します。
このあともカーブやトンネルを抜け、終点千頭駅に到着。井川駅からは1時間40分ほどかかりました。
余談ですが、井川線の車掌さんは日本一忙しいのではないかと思いました。客車間は通り抜けできないので駅到着ごとに別の車両へ移って乗車券の確認、ドアも手動なので発車前にはホームを走り閉めて回ります。そして観光路線ということで、車内放送でも観光案内。乗客が多いときは休む暇なしのようでした。